雁丸(がんまる)の原作代読映画レビュー

原作読んで映画レビューするよ!

映画『愚行録』(ネタバレあり)

 

 

初めまして、当ブログの管理人の鴈丸(がんまる)です。

このブログでは、新作映画とその原作となった小説、漫画、オリジナル版の映画を見たうえで、互いを見比べながら映画のレビューをします。

あくまで素人のレビューであり、読者の方の気に障ることを記してしまうこともあるかもしれませんがご容赦ください。

 

さて、今回紹介する作品は、こちら

『愚行録』

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【あらすじ】

ある時、エリートサラリーマンの一家が殺害され、世間を震撼させる。犯人が見つからないまま1年が過ぎ、改めて事件を追おうと決意した週刊誌記者の田中は取材を始める。関係者へのインタビューを通して、被害者一家や証言者自身の思いがけない実像が明らかになっていき、事件の真相が浮かび上がってくる。

(映画.com様より抜粋)

 

【原作】

原作は貫井徳郎さんの同名小説「愚行録」です。

愚行録 (創元推理文庫)

愚行録 (創元推理文庫)

 

貫井徳郎さんは『慟哭』で作家デビューし、『乱反射』で日本推理作家協会賞、『後悔と真実の色』で山本周五郎賞を獲得した推理作家で、ミステリーの中に社会性を盛り込んだ作風が特徴です。

『愚行録』は第135回の直木賞の候補作品になっています。

 

 原作は、一家惨殺事件の被害者家族と交流のあった関係者6人が記者に対して証言をするというインタビュー形式の構成となっており、関係者の証言ととある女性のモノローグが章ごとに繰り返されます。

 

【スタッフ・キャスト】 

 メガホンをとったのは、今作が劇場用長編映画初監督となる石川慶監督

石川監督はポーランドの映画大学で演出を学んでいたそうで、本作の撮影監督はポーランド人のピオトル・ニエミイスキが務め、グレーディング(色彩補正)もポーランドで行ったそうです。そのため普段の日本映画ではあまり見ないような質感の画が多く見られます。

 

脚本は「マイ・バック・ページ」や「松ヶ根乱射事件」などを手がけた向井康介さん。

本作は叙述トリックが巧みに使われている映画化の難しい原作ながら、映像作品の脚本に上手く落とし込み、原作の根幹の部分もしっかりと受け継いでいました。

 

キャストは、物語の主人公となる雑誌記者を妻夫木聡さん、その妹を満島ひかりさんが演じ、闇のあるキャラクターを見事に演じ切っています。

 

【私的評価】

90点/100点満点中

登場人物ほぼみんなド畜生なのですが、それこそが人間味であり、自分が自覚していない嫌な部分を投影させられている気分になります。

あまり大きく原作を大きく改変せず、下手に感動路線に走らない作品作りに好感が持てました。

 

 以下ネタバレあり 

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